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2014年8月22日

インプラントの種類について③~インプラントの素材~

さて、インプラントについてのお話も三回目となりました。

今回は、インプラントの素材とその表面構造による違いについて考えていきます。

現在、世界中で流通しているインプラントの大半はチタンという金属を加工したものです。 1960年代に、スウェーデンの整形外科医であるブローネマルク先生が、ある動物実験で偶然、チ タンと動物の骨が癒着しているのを発見したのをきっかけに、ヒトの顎の骨にチタン製のネジを 埋め、骨と癒着したネジを支えに義歯を固定するという治療法を開発しました。 その後、様々なメーカーにより、このチタン製のネジの形状や表面の構造に改良が加えられ、チ タンと骨との癒着は、より早く、強く、長期間安定するようになり、現在に至っています。 このようなチタンと骨との癒着をオッセオインテグレーション(骨結合)と言いますが、この、オッ セオインテグレーションを早める目的で、チタン表面にハイドロキシアパタイト(以下HA)という 骨と同じような素材をコーティングした特殊なインプラントがあります。世界的に観るとあまり 一般的では無いHAコーティングされたチタン製インプラントですが、何故か、日本の一部の歯科 医師には人気のあるインプラントです。これは、都内で開業されている、ある有名な先生の影響 かと思われます。この先生はHAのインプラントを用いた素晴らしい症例を講演会などで発表され ているのですが、見様見真似で同じ様な手術をして失敗する先生がいることも事実です。これは、 HAコーティングのインプラントが他のチタン製インプラントより優れているということではなく、 この有名な先生の技術が優れているという事だと思います。論文を検索すると、HAの方が骨結合 が早いというデータが有る様ですが、反面、チタンとコーティングされたHAが剥がれるという問 題を指摘する論文もあります。一般的には、信頼できるメーカーのインプラントであれば、シン プルなチタンのみのインプラントで、本来の目的は十分達成できると考えます。