2015年9月28日
矯正歯科選びのポイント
さて、歯列矯正のお話もひとまず今回で終了です。
今回は、歯科医院選びのポイントです。
最初にお話したように、当院では本格的な歯列矯正はやっていません。
その理由は、専門的な矯正治療が出来るようになるには、矯正治療に特化した専門的勉強のための時間と労力がかなり必要だからです。
これまで、歯科治療の勉強をサボってきた訳では無いのですが、歯周病や外科、補綴が専門の自分には矯正の勉強までは手が回りませんでした。
以前、矯正歯科を専門にしている先輩の先生に 「矯正治療が出来るように勉強をしたいのですが、何から始めたらいいですか?」と何気なくお聞きしたところ、普段は温厚なその先生にひどく怒られた事があります。
その先生いわく、「最近、素人の歯医者が、簡単な講習会を受講して、
見様見真似の矯正治療を始めた結果、上手くいかず、グチャグチャの状態で専門医を受診する患者が増えた。自分たちが何年かかって矯正の専門医になったと思っているんだ。」とのことでした。
それをきっかけに私は自分で矯正治療をすることは諦め、餅は餅屋にお任せしようと考えるに至りました。
したがって、当院では歯並びを心配する患者さんの相談には乗りますが、治療は、私の信頼する専門医の先生をご紹介しています。
【矯正歯科専門の歯科医院で治療するメリットは数多くあります。】
一つ目は、当たり前のことですが、技術に信頼がもてるということです。ほとんどの矯正歯科専門の院長は、日本矯正歯科学会認定の専門医以上の資格を取得しているはずです。
二つ目は、通院しやすいということです。皆さんは、近くの歯科医院の方が通いやすいと考えがちですが、矯正歯科にかんしてはそうとも言えないのです。
矯正の治療は、虫歯の治療のように短期間に何度も通う訳ではありません。
患者さんが中学生や高校生の場合、塾や部活動も忙しくなり、なかなか通院のための時間が確保できなくなってきます。
とくに一般の歯科医院では遅い時間まで診療していなかったり、日曜日は休診の場合が多いので、そのようなところで治療を始めてしまうと、通院に苦労することになりがちです。
その点、たいがいの矯正専門歯科医院は、お子さんの患者さんが多いため、遅くまで診療していたり、日曜日も診療しているので、通院しやすいと言えるのです。
三つ目は、歯科衛生士の存在です。現在、歯科衛生士は慢性的に人手不足で、どの歯科医院でもその確保には苦労しています。
いざ矯正治療が始まってからの大きな問題点の一つに、お口の中に治療のための装置が入ると、歯磨きがしずらくなり、虫歯や歯肉炎になりやすくなるということがあります。
それを予防するためには歯科衛生士による、徹底した歯磨き指導が重要になるのですが、様々な治療を行っている一般の歯科医院では、なかなかそれ専任の歯科衛生士を確保できないのが現状です。
矯正専門の歯科医院では必ず歯科衛生士がじゅうぶんな時間をかけて、徹
底的な歯磨き指導を行います。せっかく長い時間とお金をかけて歯並びが良くなっても、虫歯だらけにしてしまってはもったい無いですから。
以上簡単に、矯正専門の歯科医院のメリットを書きましたが、逆に言えば、これらが満たされていれば一般の歯科医院で矯正治療を受けても良いわけですし、たとえ専門の歯科医院でもお薦めできない場合もあるわけです。
病的ではない歯並びの不正を変えるというのは、ある意味、美容整形に近いものがあります。治療のメリット、デメリットについて真摯に話のできる、歯科医院を選ぶことが最も大切なのではないでしょうか。